労働基準法は、労働条件の最低条件を定めて、労働者の保護を図っています。違反した場合には罰則を適用する強行法規としてその遵守を求めています。しかし、現実には会社と労働者との労働契約は、その事業場ごとのさまざまな条件によって決まっていることが多く、一概に法の規制をかけることは難しいのです。そこで、会社と労働者との労使協定により、一定の場合には、労働基準法の枠を越えて労働条件などを決定することを許容しています。
労使協定とは
- 労使協定とは「当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときは、その労働組合、ないときは労働者の過半数を代表する者と使用者との書面による協定」のことを言います。
- 労使協定を締結することにより、労働基準法上で禁止されている事項について例外的に免れる(免罰的効力)ことができます。
労使協定の中には、締結すればその効果が生じるものと、締結した後、さらに労働基準監督署へ届け出る義務のあるものがあります。 - 労使協定は、1事業所毎に、保管や提出を要します。原則として支店・店舗・工場が、1つの事業所ということです。
主な労使協定
労使協定の名称 | 届出義務 |
---|---|
時間外休日労働に関する協定届 | ○ |
専門業務型裁量労働制に関する協定届 | ○ |
企画業務型裁量労働制の決議 | ○ |
事業場外労働に関する協定届 | ○ |
1箇月単位の変形労働時間制に関する協定届 | ○ |
1年単位の変形労働時間制に関する協定届 | ○ |
フレックスタイム制 | × |
1週間単位の非定型的変形労働時間制 | ○ |
賃金控除に関する協定届 | × |
解雇予告除外認定申請書 | ○ |
育児休業除外者協定 | × |
介護休業除外者協定 | × |
年休における計画的付与 | × |
年休における賃金 | × |
協定書の作成から提出までの流れ
-
1労使協定は「労働者」と「使用者」が、話し合いをして、定めるものです。
ですから厳密には、労使協定書(案)の作成に関するお手伝いをさせていただくということになります。 -
2労働基準法、高年齢者雇用安定法、育児・介護休業法で規定されている、労使協定書(案)を作成します。
(労働基準監督署への提出が要件となっている労使協定については、労使協定届を提出します) -
3まず前提となる、就業規則等の整備状況を確認させていただきます。
就業規則がない場合は、先に就業規則を整備させていただくことがあります。 -
4就業規則等が整備されている場合は、ヒアリングをさせていただき、その後、時間外労働・休日労働の実態データをもとに協定(案)を作成します。
その後、従業員側代表者様と調印していただきます。36協定以外の労使協定は、社内保管のため、協定(案)作成をもって、業務の終了です。
36協定は労働基準監督署へ提出(提出が効力発生要件です)・報告まで済ませて終了です。