「職場の全面禁煙化」を検討してみませんか?
◆タバコは「確実」に病気のもと
9月初めに厚生労働省から「喫煙の健康影響に関する検討会報告書」が公表されました。この報告書によると、喫煙者本人について、がん・虚血性心疾患・脳卒中など22の病気について、タバコが原因であることが「確実」(下記の「レベル1」)だと判定されるとのことです。また、受動喫煙については、肺がん・虚血性心疾患・脳卒中など7種類の病気で影響が「確実」だとされました。この調査は、「喫煙の健康影響に関する検討会」がまとめたもので、国内外の論文約1,600を分析し、喫煙と病気の関係度合いについて次の4段階で判定したものですが、国の検討会がタバコの健康影響を総合的に判定したのは初めてのことです。
・レベル 1:科学的証拠は、因果関係を推定するのに十分である
・レベル 2:科学的証拠は、因果関係を示唆しているが十分ではない
・レベル 3:科学的証拠は、因果関係の有無を推定するのに不十分である
・レベル 4:科学的証拠は、因果関係がないことを示唆している
◆オリンピックと禁煙の関係
4年後に東京でオリンピックが開催されますが、IOC(国際オリンピック委員会)は1988年以来、オリンピック大会での禁煙方針を採択しており、これ以降オリンピック開催都市はすべて罰則付きの受動喫煙防止法または条例を制定しています。また、2010年には、WHO(世界保健機関)との間で、オリンピックをたばこの煙のない環境で実施する合意文書に調印しているそうです。厚生労働省では、今回の報告書を受け、2020年の東京オリンピックに向けてたばこ対策を推進したい考えです。
◆職場の全面禁煙化のチャンス
報告書では、職場のたばこ対策に関して禁煙と分煙を比較した研究でも、禁煙によるメリットが分煙のそれを上回っているとのことです。喫煙のため度々離席する社員を苦々しく思っている経営者・管理職の方も多いはずです。また、サービス業全般(レストラン、バー・居酒屋、宿泊業など)について検討した結果、全面禁煙化によるマイナスの経済影響は認められなかったとのことで、「タバコを吸えないと店の売上げが減る」という心配はなさそうです。最近は「スメハラ」(スメルハラスメント)といって、ヒト本来の体臭さえ悪者にされるような風潮があります。また、健康経営など、社員の健康を重視した取組みが評価される時代です。タバコは臭いだけではなく、様々な悪影響がこれだけ明らかになっているのですから、職場の喫煙でお困りの企業はこれを機に職場の全面禁煙化を検討してみてはいかがでしょうか。
問題発生を防ぎ、生産性を高めるには?「コミュニケーション力」強化のススメ
◆問題の多くは「コミュニケーション」が原因で発生
打合せや商談、報告・連絡・相談、プレゼンテーション、交渉など、ビジネスのでは多くの場面でコミュニケーション力が求められます。こうした場合にうまくコミュニケーションが取れないと、きちんと伝えたつもりが伝わっていなかったり、トラブルやクレームが発生したり、行き違いのために余計な手間が発生したり…、多くの問題が生じてしまいます。こうしたことから、コミュニケーション力を、「仕事をしていくうえで最も重要なスキルの1つ」と位置付ける人もいます。職場全体のコミュニケーション力が上がれば、これに起因する問題の発生を防ぐことができるだけでなく、円滑に仕事を進めることができるようになって生産性も向上すると言われています。上司がコミュニケーション能力を持っていれば、部下の能力を十二分に発揮させ成長させることも可能となります。
◆コミュニケーションに必要な能力
コミュニケーション力には、「相手の話を聞くヒアリング能力」「相手を説得したり納得させたりする説得・交渉力」「相手の長所や特長を見極め、得意な分野で能力を活かすマネジメント力」など、様々なものがあります。これらは、一朝一夕に身に付くものではありません。日頃から意識して、スキルを磨いていくように働きかける必要があります。そうした中で、徐々にコミュニケーションの質も高まっていきます。
◆まずは職場に「信頼関係」を築こう
とはいえ早期に結果を出すことを目指すなら、職場に「信頼関係」を築くことが一番です。信頼関係がある相手に対しては意見も伝わりやすいため、依頼や交渉もスムーズに行うことができ、これが成果につながります。
女性社員が考える結婚・出産後の「キャリア意識」
◆「結婚・出産後も働きたい」女性が9割近く
女性の場合、結婚・出産などのライフイベントが、キャリアプランに影響を与えることが多いものです。妊娠・出産となると、産休・育休など会社を離れる期間が生じますし、その後の女性のキャリア意識は、それぞれの事情によって様々です。「これからの転職。」(運営会社:株式会社Shift(ビースタイル・グループ))の研究機関である「これからの転職。研究所」が、首都圏に勤務するキャリア女性(27才~33才)を対象に実施した『結婚・出産後のキャリア意識』についてのアンケート調査では、「結婚・出産後に、どのような働き方をしたいと考えていますか?」との質問に対して、「結婚・出産後も働きたい」と回答した女性が86.7%という結果となったそうです。これは「ずっと働かずに専業主婦として過ごしたい」と回答した8.5%を大きく上回る結果となっています。
◆「専業主婦になってもいいが、また働きたい」は5割超
上記の「結婚・出産後も働きたい」との回答の内訳は、「キャリアを途切らせることなく継続的に働きたい」が33.0%、「一時的に専業主婦(無業)になってもいいが、また働きたい」が53.7%となっています。キャリアを一旦中断してもよいと考えている層のほうが、まだ多い結果となっています。以上のことからは、子育てにはしっかり時間をかけたいという意識と、まだまだ企業の両立支援の制度が整っていない現状が見て取れます。これは、同調査で、産後に育休を取りたい期間についての質問に対して、約半数が「1年以上、3年未満」(46.3%)と長めに回答したことからもわかります。
◆仕事と育児を両立できる職場が求められている
育休を長く取得することを希望している女性が多い一方、なかなかそこまでの制度は整っていない職場が多いというのが現状です。中小企業では人員の関係もあり、対応が難しいところですが、女性の活躍が社会的にも進んでいく中で、「キャリア継続」と「子育て」のいずれかを選択しなければならないという職場環境では、さらに深刻な人手不足の問題に直面しかねません。できるところから、今後の対応を考えみてはいかがでしょうか。
2017年度から「外国人介護福祉士の訪問介護」を解禁へ
◆来年度から実施予定
厚生労働省は「外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会」において、EPA(経済連携協定)に基づいて来日した外国人の介護福祉士による訪問介護サービスを解禁することを決定しました。年内に条件等をまとめ、ガイドラインを作成し、来年度からの実施が予定されています。外国人の介護人材の受入れは2008年から始まり、これまでにインドネシア、フィリピン、ベトナムから2,000人超が来日し、約350人が介護福祉士の資格を取得しています。しかし、EPAでは現在、介護施設内でしか働くことができませんでした。
◆条件付きで認めるも課題が…
そこで、この検討会では外国人の介護福祉士の制度を見直し、それぞれの母国語に対応した相談窓口の充実に取り組むとともに以下のような条件で訪問介護を認める方針を示しました。
・指導にあたる介護福祉士が同行して一定の経験を積む
・日本の生活様式や習慣を含む訪問サービスの研修の実施
・緊急時の対応マニュアルの整備
・記録や報告事項を定型化する工夫
外国人が訪問介護を行うにあたり、課題となるのが職員や利用者、利用者の家族との日本語でのコミュニケーションです。訪問介護では、介護が必要な高齢者が自宅に訪問し、食事やトイレ、入浴などの介護のほか、掃除や洗濯などの援助を行います。そのため、高度なコミュニケーションが求められるこことなります。
◆人手不足の解消となるか?
今回の解禁は、外国人の介護福祉士の活躍の場を拡げるとともに、介護現場の深刻な人手不足の解消につながることがねらいでもあります。介護職員や利用者が外国人を受け入れる体制を整え、利用者の安心できる介護サービスが提供されることが期待されます。