2021年3月

世代別ハラスメントへの認識ギャップに注意
~ダイヤモンド・コンサルティングオフィス合同会社の調査より~

 

◆ハラスメントへの世代間での認識ギャップ

テレワークを行っている会社員を対象に、ハラスメントへの感じ方を調査したアンケート結果が公表されました(ダイヤモンド・コンサルティングオフィス合同会社)。調査から、テレワーク下での上司の言動をハラスメントと感じるかどうかには、世代間で大きなギャップがあることがわかりました。

まず、「上司がテレワークの際に、仕事をしているかわからないことを理由に、日報を書いて送ることを義務付けること」がパワーハラスメントに該当すると思うかという質問には、20代の50.0%が「絶対に該当すると思う」「おそらく該当すると思う」と回答しました。他方、50代では31.3%に留まりました。

また、「上司がテレワークの際に、会議で顔出しすることを強要すること」については、20代の55.0%が「絶対に該当すると思う」「おそらく該当すると思う」と回答し、50代の35.7%と比べ、世代間で19.3ポイントのギャップがありました。

全体的に、若い世代のほうがハラスメントに対して敏感に感じ取る傾向があることがわかります。

 

◆ギャップを認識することが重要

こんなことをハラスメントと感じるのか、と驚かれた方もいるでしょう。重要なのは、実際にこれらがハラスメントに当たるかどうかではなく、世代によって感じ方にギャップがあるということを認識し、対応していくことです。これらの認識の差は、職場にコミュニケーション不和を生じさせ得るものです。かつての当たり前が、これからもそうであるとは限りません。働き手が減少するなかでも若い世代を採用し、企業を発展させていくためには、こういった感じ方の違いを小さくする努力をしつつ、ハラスメント対策をアップデートさせていくことが欠かせないでしょう。

【ダイヤモンド・コンサルティングオフィス合同会社「世代間におけるハラスメントに対する感じ方/認識の実態調査」】

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000058857.html

 

 

新型コロナウイルス感染症に係るメンタルヘルス~厚生労働省調査より

 

厚生労働省から、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴うストレスなど、国民の心理面への影響を把握する調査の結果が公表されました。

 

◆不安の対象

性別年代別の特徴としては、以下のとおりです。

・全体的に、50歳未満の女性の不安に対する割合が高かった。

・30歳~49歳の男性や 20歳~49歳女性では、「自分や家族の仕事や収入に関する不安」の割合が高かった。

・女性の方が男性より「生活用品などの不足への不安」の割合が高かった。

・15歳~19歳の人は「自分や家族の勉強や進学に関する不安」の割合が高かった。

また、産業別の特徴としては、「宿泊業、飲食サービス業」「生活関連サービス業、娯楽業」の人は、「自分や家族の仕事や収入に関する不安」の割合が高くなりました。

就業形態別の特徴としては、自営業主(内職者含む)や家族従業者、パート・アルバイト、派遣社員・契約社員・嘱託、無職(新型コロナウイルス感染拡大の影響による失職・離職)の人は、「自分や家族の仕事や収入に関する不安」の割合が高くなりました。

 

◆困ったこと・ストレスに感じたこと

以下の内容を挙げた人が多くなりました。

・感染や感染症の情報に関すること……「自分や家族が感染するかもしれないこと」(75.5%)

・生活に関すること……「医療用品・衛生用品(マスクなど)が入手困難なこと」(57.6%)「旅行やレジャーができないこと」(50.4%)

・医療・福祉、仕事に関すること……「医療機関を受診しづらいなど医療サービスを受けづらくなったこと」(43.1%)

・家族などに関すること……「家族・親戚・友人などに会えないこと」(47.9%)

 

◆日常生活における変化(新型コロナウイルス感染症の感染拡大前と比べて)

「睡眠時間」や「飲酒量」の変化については、増加した人と減少した人はほぼ同程度でした。「運動量」が減少した人が約4割、「ゲームをする時間」が増加した人が約2割いました。

 

厚生労働省では、特設サイト「こころの耳」の中で、新型コロナウイルス感染症に関連した不安やストレスと上手に付き合う方法について、専門家からのアドバイスや相談窓口などを紹介しています。従業員の皆様のメンタルヘルス対策にお役立てください。

【厚生労働省「こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト~新型コロナウイルス感染症対策(こころのケア)」】

https://kokoro.mhlw.go.jp/etc/coronavirus_info/

 

国税庁より「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ」(源泉所得税関係)

 

◆概要

テレワークによる働き方が定着するなか、会社以外で業務にあたる際の通信費や光熱費の費用負担に係る税務について、2021年1月、国税庁よりFAQが公表されました。

FAQでは、手当の支給方法や業務使用部分の精算や計算方法等に係る税務の取扱いを示しています。ここでは、主な内容の項目を取り上げます。

 

◆企業が従業員に在宅勤務手当を支給した場合、従業員の給与として課税する必要があるか?

・費用の実費相当額を精算する方法で従業員に対して支給する⇒課税する必要なし

・在宅勤務手当として渡切りで支給するもの(必要費用として使用しなかった場合でも返還義務のないもの)⇒課税する必要あり

 

◆従業員が負担した通信費の計算方法

○電話料金

「通話料」と「基本使用料」について示しており、通話料に関しては明細書等で確認できるため、その部分の企業の負担は非課税扱い。基本使用料については、次のような【算式】で算出したものについては非課税。

○インターネット接続にかかる通信料

「基本使用料」や「データ通信料」などについて、業務で使用した部分を合理的に計算する必要があり、次のような【算式】により算出したものについては非課税。

【算式】

業務のために使用した基本使用料や通信料等

=従業員が負担した1か月の基本使用料や通信料等×その従業員の1か月の在宅勤務日数/該当月の日数×1/2

【例】従業員が9月に在宅勤務を20日行い、1か月の基本使用料や通信料を1万円負担した場合の業務のために使用した部分の計算方法

10,000円×20日(在宅勤務日数)/30日(9月の日数)×1/2

=3,334円(1円未満切上げ)

 

このほか、電話料金に係る行う使用部分の計算方法や、レンタルオフィス等の利用に関する取扱いについても示しています。詳細は、以下をご確認ください。

【国税庁ホームページ】

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0020012-080.pdf

多くの企業で人の移動や対面の積極機会削減に尽力~帝国データバンク調査
◆2度目の緊急事態宣言を受けた企業への影響を調査

新型コロナウイルスの感染者数の急拡大により、11都府県に対して2度目の緊急事態宣言が発出されたことを受け、帝国データバンクが1月に「新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査」を実施し、今月1日に結果を発表しました。

調査は今年1月18 日~31 日にかけて行われたもので、調査対象は全国2万3,695 社、有効回答企業数は1万1,441社(回答率48.3%)でした。新型コロナウイルス感染症に関する調査は、2020年2月以降毎月実施されているもので、今回が12回目ということです。

 

◆8割弱の企業で業績へマイナス影響

まず、新型コロナウイルス感染症による自社の業績への影響について、「マイナスの影響がある」と答えた企業は78.8%で、4カ月連続で8割を下回りました。一方で、「影響はない」とした企業が11.1%、「プラスの影響がある」(「既にプラスの影響がある」と「今後プラスの影響がある」の合計)とした企業は4.3%でした。

多くの企業でマイナスの影響がある一方、コロナ対策関連事業を営む企業ではプラスの影響があると回答しているものとみられます。

 

◆多くの企業で人の移動や対面の積極機会削減に尽力

次に、緊急事態宣言を受けて、何らかの「対応を講じている」とした企業は89.9%と、9割近くに達しました。一方で、「緊急事態宣言以前と変わらない」とした企業は8.6%ありました。

また、「対応を講じている」企業にその内容を質問したところ、上位の回答は、「都道府県をまたぐ出張や打ち合わせの削減」が 55.6%で最も高く、次いで「対面営業や打ち合わせの削減」(51.8%)、「従業員に不要不急の外出自粛などの呼びかけ」(51.7%)、「非接触の会議や打ち合わせの推奨」(41.2%)、「イベントの開催・参加の中止(展覧会など)」(39.2%)となりました。

なんらかのかたちで人の移動や対面による接触の削減を挙げている企業が多いことがわかります。

「資金繰り対策(金融機関への融資相談など)」は15.6%、「営業時間の短縮」は14.0%という結果でした。

【帝国データバンク「<速報>新型コロナウイルス感染症に対する企業の意識調査(2021 年1月)」】

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p210201.html