メーカー別新型コロナワクチン接種後の体調変化
◆ワクチン接種後の体調への影響は?
新型コロナワクチンの接種では、様々な副反応が起こることが知られています。
現在接種が認められている3社のうち、厚生労働省は、ファイザー社、武田/モデルナ社のワクチンについて、先行接種後に起こった副反応を約1カ月間調査した結果を8月4日に公表しています。
◆ファイザー社のワクチン接種後の体調の変化
接種部位の痛みは、1回目・2回目とも9割の人にみられました。赤くなったり腫れたりした人も、1割強います。
痛み以外は2回目のほうが頻度が高く、37.5度以上の発熱は20~30歳代では約半数にみられます。頭痛は、1回目はほぼすべての世代で2~3割、2回目は20~50歳代で5~6割にみられます。全身の倦怠感も同様で、2回目は20~50歳代で7~8割の方にみられます。痛み以外の反応は、男性より女性の頻度がやや高い傾向にあります。
◆武田/モデルナ社のワクチン接種後の体調の変化
接種部位の痛みは、1回目・2回目とも8~9割の人にみられました。赤くなったり腫れたりした人は、2回目では2割程度います。
痛み以外の反応は2回目のほうが頻度が高く、特に接種の翌日に多くみられます。37.5度以上の発熱が約8割、頭痛は約6割、全身の倦怠感が約8割となっています。
同社の結果については、年齢・性別による違いには触れられていません。
◆アストラゼネカ社のワクチン接種後の体調の変化
8月4日の厚生労働省の資料によれば、8月下旬以降各都道府県に少なくとも1カ所の接種センターの設置をお願いする、とされています(緊急事態宣言対象自治体では8月中旬)。
主な副反応としては接種部位の痛み、頭痛、関節や筋肉の痛み、倦怠感、疲労、寒気、発熱等を挙げ、臨床試験では1回目のほうが2回目より高い頻度でみられるとされています。また、ごく稀に血栓症、毛細血管漏出症候群、ギラン・バレー症候群などを発症した例が、海外で報告されているということです。
【参考】厚生労働省「新型コロナワクチンの接種後の健康状況調査」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_kenkoujoukyoutyousa.html
テレワーク定着についての課題は?~令和3年版「労働経済白書」より
◆テレワークの今
2020年初頭から全世界で猛威を振るい、日常生活に多大な影響を与えている新型コロナウイルス感染症ですが、2020年4月には、感染拡大地域を対象に初めて緊急事態宣言が出され、これをきっかけとして、多くの企業でテレワークが導入されました。
テレワークを日常的に行っていた企業では大きな混乱はなかったものと思われますが、付け焼き刃の整備で始めた企業では、現在の感染拡大の最中においても、テレワークをやめて出社勤務が主となっているところも少なくないようです。
◆導入した企業の継続割合
厚生労働省が公表した「令和3年版 労働経済の分析」(労働経済白書)では、「新型コロナウイルス感染症の拡大による雇用・労働への影響」として「テレワークを活用して働いた労働者についての分析」が示されています。
そこでは、2020年4、5月には企業のテレワーク実施割合は5割を超えていたものの、同年末には3割程度に減少しており、特に2020年2~5月に初めてテレワークを活用した企業では、感染拡大前からテレワークを実施していた企業よりも継続割合が低いことが指摘されています(2021年2月時点の継続状況:感染拡大前から活用経験がある企業90.4%、2020年2~5月に初めて活用した企業71.7%)。
◆定着に向けた課題
テレワークの運用・実施状況別にみた企業の課題としては、「出社時と比べて、職場の人とのコミュニケーションが取りづらい」(73.8%)、「業務の性質上、テレワーク可能な業務を切り出すことが 難しい」(49.3%)、「個人の業務の進捗や達成度の把握が難しい」(55.7%)、「社員がテレワークするための環境整備が難しい(使用PCの台数確保や、テレワーク回線、セキュリティの問題等)」(41.6%)などが挙げられますが、運用状況別にみると、「うまく運用できていない」企業においてこれらを課題として挙げる割合が高いことが指摘されています。
◆会社ごとの課題に応じた模索が必要
労働経済白書では、「テレワークの活用経験がある企業や労働者の割合が比較的低い業種でも、テレワーク継続率が高い場合があることを踏まえると、業務の性質にかかわらず、テレワーク定着の可能性があることがうかがえる」とも分析されています。「うちの業種ではテレワークはできない」と決めつけずに、自社での最適で有用な手段を模索していくことで、労使双方により良い効果をもたらすことができるでしょう。
【参考】厚生労働省「令和3年版 労働経済の分析」
https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/roudou/20/20-1.html
育児休業取得率(令和2年度雇用均等基本調査)と法改正の動向
◆育児休業者割合
① 女 性
在職中に出産した女性のうち、令和2年10月1日までに育児休業を開始した者の割合は81.6%と、前回調査(令和元年度83.0%)より1.4ポイント低下しました。
また、同期間内に出産した、有期契約労働者の育児休業取得率は62.5%で、前回調査(同77.5%)より15ポイント低下しました。
② 男 性
配偶者が出産した男性のうち、令和2年10月1日までに育児休業を開始した者の割合は12.65%と、前回調査(令和元年度7.48%)より5.17ポイント上昇し、過去最高を記録しました。このうち、育休期間が5日未満の取得者の割合は28.33%でした。
また、同期間内において配偶者が出産した、有期契約労働者の育児休業取得率は11.81%で、前回調査(同3.07%)より8.74ポイント上昇しました。
今回、男性の育児休業取得率は過去最高となりましたが、政府が掲げていた2020年までに13%にするという目標には届きませんでした。
◆育児・介護休業法の改正
去る6月に成立した改正育児・介護休業法では、出生後8週以内に最長4週間取れる「出生時育児休業」が、男性の育児休業取得率を上げるものとして注目されています。同法は段階的に施行されますが、ここでは直近の令和4年4月1日施行の改正点を紹介します。
① 有期雇用労働者の育児休業・介護休業の取得要件の緩和
「引き続き雇用された期間が1年以上」という要件が削除され、有期雇用労働者は育児・介護休業を取得しやすくなります。
② 妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け
事業主は、妊娠・出産の申出をした労働者に対して、育児休業に関する制度その他の厚生労働省令で定める事項を知らせるとともに、育児休業申出に係る当該労働者の意向を確認するための面談その他の厚生労働省令で定める措置を講じなければなりません。
③ 育児休業を取得しやすい雇用環境の整備の義務付け
事業主は、育児休業申出が円滑に行われるようにするため、その雇用する労働者に対する育児休業に係る研修の実施、育児休業に関する相談体制の整備、その他厚生労働省令で定める育児休業に係る雇用環境の整備に関する措置のいずれかの措置を講じなければなりません。
【参考】厚生労働省「令和2年度雇用均等基本調査」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/71-r02.html
同「改正育児・介護休業法の概要」
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000788616.pdf
失業「1年以上」が74万人―失業者全体の3割超~総務省労働力調査
総務省が8月10日に発表した労働力調査(詳細集計)で、2021年4月~6月の失業者233万人のうち、仕事につけない期間が1年以上に及ぶ人が74万人と、3割以上を占めていることがわかりました。新型コロナ禍で経済活動の抑制が続いていることが最大の要因とみられます。以下、調査結果の概要をみていきましょう。
◆正規、非正規の職員・従業員数と「非正規」の理由
役員を除く雇用者5,615万人のうち、正規の職員・従業員は3,557万人、非正規の職員・従業員は2,058万人で、非正規の職員・従業員については四半期別で6期ぶりの増加となりました。非正規の職員・従業員について、現職の雇用形態についた主な理由を男女別にみると、男女ともに「自分の都合のよい時間に働きたいから」が最も多く、男性は181万人と前年同期に比べ4万人の増加、女性は469万人と64万人の増加となっています。一方、「正規の職員・従業員の仕事がないから」と消極的な理由を回答した男性は104万人と3万人の減少、女性では111万人と4万人の減少でした。
◆失業者数と仕事につけない理由
失業者は233万人と、前年同期に比べ19万人増加しています。失業期間別にみると、失業期間が「3か月未満」の者は95万人と2万人の増加、「1年以上」の者は74万人と19万人の増加となりました。失業者全体を仕事につけない理由別にみると、「希望する種類・内容の仕事がない」とした者が最も多い78万人と12万人の増加で、「求人の年齢と自分の年齢とがあわない」が26万人、「勤務時間・休日などが希望とあわない」が22万人でした。また、「条件にこだわらないが仕事がない」とした者も16万人と、2万人の増加となっています。
◆前職の離職理由
失業者233万人のうち、離職した失業者は158万人と前年同期に比べ19万人の増加となりました。これを前職の離職理由別にみると、 「定年又は雇用契約の満了のため」とした者が28万人、 「家事・通学・健康上の理由のため」とした者が25万人でしたが、「会社倒産・事業所閉鎖のため」が13万人、「人員整理・勧奨退職のため」が15万人、「事業不振や先行き不安のため」が8万人と、会社の業績悪化や倒産が原因とうかがわせる離職も増加傾向が続いています。
コロナ禍の先行きが見通せない中、我慢の続く企業も多いと思います。ただ一方で、業績が好調または回復基調にある企業にとっては、積極的に人材を採用できる機会といえるかもしれません。
【参考】総務省「労働力調査(詳細集計)2021年(令和3年)4~6月期平均」PDF
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/4hanki/dt/pdf/gaiyou.pdf