健康保険の被保険者証 保険者から被保険者に直接交付可能に
◆改正の趣旨
健康保険制度における被保険者証等については、保険者から事業主に送付し、事業主から被保険者に交付すること等が義務付けられていますが、テレワークの普及等に対応した柔軟な事務手続を可能とするため、保険者が支障がないと認めるときは、保険者から被保険者に対して被保険者証等を直接交付すること等が可能となります(10月1日から)。
◆主な改正点
① 被保険者証の交付について、保険者が支障がないと認めるときは、保険者が被保険者に直接送付することができることとされます。
② 被保険者証の情報を訂正した場合における被保険者証の返付について、保険者が支障がないと認めるときは、事業主を経由することを要しないこととされます。
③ 被保険者証の再交付について、保険者が支障がないと認めるときは、事業主を経由することを要しないこととされます。
④ 被保険者証の検認又は更新等を行った場合における被保険者証の交付について、保険者が支障がないと認めるときは、保険者が被保険者に直接送付することができることとされます。
⑤ 高齢受給者証、特定疾病療養受療証、限度額適用認定証及び限度額適用・標準負担額減額認定証の交付方法等について、①~④に準じた改正が行われます。
◆被保険者証等の返納については、事業主経由を省略できない
厚生労働省のQ&Aによると、被保険者証等の返納については、事業主経由を省略できません。被保険者が資格を喪失したときは、これまでと同様に、事業主は遅滞なく被保険者証を回収して保険者に返納しなければなりません。
詳しくは下記をご覧ください。
【厚生労働省「健康保険法施行規則及び船員保険法施行規則の一部を改正する省令の施行について」PDF】
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T210816S0020.pdf
【厚生労働省「被保険者証等の直接交付に関するQ&A」PDF】
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T210816S0030.pdf
「小学校休業等対応助成金・支援金」が再開されます
感染症対策においてワクチン接種が進んではいるものの、未だ感染拡大の勢いは止まらず、最近では若年層(10代)におけるクラスター発生も耳にするようになってきました。そのような傾向もあり、令和2年度に実施されていた「小学校休業等対応助成金・支援金」制度が再開される予定です。
◆「小学校休業等対応助成金・支援金」制度の対象
【支給対象者】
・子どもの世話を保護者として行うことが必要となった労働者に対し、有給(賃金全額支給)の休暇(労働基準法上の年次有給休暇を除く。)を取得させた事業主
・子どもの世話を行うことが必要となった保護者であって、委託を受けて個人で仕事をする者
【対象となる子ども】
① 新型コロナウイルス感染症への対応として、ガイドライン等に基づき、臨時休業等をした小学校等(*)に通う子ども
*小学校等:小学校、義務教育学校の前期課程、特別支援学校、放課後児童クラブ、幼稚園、
保育所、認定こども園等
② 下記ⅰ)~ⅲ)のいずれかに該当し、小学校等を休むことが必要な子ども
ⅰ)新型コロナウイルスに感染した子ども
ⅱ)風邪症状など新型コロナウイルスに感染したおそれのある子ども
ⅲ)医療的ケアが日常的に必要な子どもまたは新型コロナウイルスに感染した場合に重症化するリスクの高い基礎疾患等を有する子ども
【対象となる休暇期間】
令和3年8月1日以降12月31日までに取得した休暇
*令和3年7月31日までに取得した休暇については、「両立支援等助成金 育児休業等支援コース 新型コロナウイルス感染症対応特例」の対象。
◆労働者からの申請
事業主が休業させたとする扱いに同意することを条件に、労働者が直接申請することも可能となる予定です(令和2年度と同じ)。
【厚生労働省「小学校休業等に伴う保護者の休暇取得支援について」】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_20912.html
「技能検定」を知っていますか?
◆技能検定とは
働く上で身に付ける、または必要とされる技能の習得レベルを評価する国家検定制度で、現在、130職種の試験があります。実施団体は、都道府県職業能力開発協会もしくは民間の試験機関です。試験は、難易度によって1級、2級、3級に分かれていて(職種によっては難易度を分けないで行うものもある)、実技試験と学科試験の両方の試験に合格しなければなりません。試験に合格すると、合格書が交付され、「技能士」と名乗ることができます。
◆技能検定職種
例えば、建設関係(造園、さく井、建築板金、冷凍空気調和機器施工など)、陶磁器製造、金属加工関係(金属溶解、鋳造、鍛造など)、一般機械器具関係(機械検査、機械保全など)、食料品関係(パン製造、菓子製造、製麵など)、衣服・繊維製品関係(染色、ニット製品製造など)、その他(ウェブデザイン、キャリアコンサルティング、ピアノ調律、ファイナンシャル・プランニング、知的財産管理、金融窓口サービス、ブライダルコーディネートなど)があります。
令和4年度からは、「眼鏡作製」の技能に関する新しい技能検定試験が加わります。多様化・高度化する顧客のニーズに伴い、「適切な診断・治療」と「適切な眼鏡作製」の双方の実現に向けて、眼鏡技術者が眼科専門医と連携しつつ、国民により良い眼鏡を提供し目の健康を守れるよう、眼鏡作製の技能を高めていくことを目的に新設されました。
◆企業が社員に技能検定を受検させるメリット
次のようなメリットがあるようです。
・若い技能者の習熟度を確かめる方法として有効。
・高い技能を持つ技能士がいることで、製品の生産性の向上や品質維持に役立つ。
・企業内に能力評価制度がなくても、技能検定を活用することで代用できる。
・技能士がいることにより、企業が高い技術力を持つ証明となり、顧客からの信頼を得られる。
【厚生労働省「技能検定制度について」】
コロナでわかった不要なもの コロナの影響はいつまで?
◆86%が働き方・制度を変更
エン・ジャパン株式会社が実施した「コロナ禍でわかった無くてよかったもの、必要になったもの」に関するアンケート調査(655社の人事担当者が回答)で、新型コロナウイルスの影響による働き方・社内制度の変更などの対応を尋ねたところ、86%が対応をしたと回答しました。
実施率が50%以上の施策を見ると、「社員が大勢集まる会議やイベントの禁止」(78%)、「テレワーク・在宅勤務の導入」(72%)、「オンライン会議システムの導入」(62%)、「時差出勤の導入」(60%)、「訪問営業の自粛、オンライン化」(53%)、「出張の禁止・自粛」(53%)、「採用選考のオンライン化」(50%)となっています。
◆コロナで不要と気付いたもの
また、「コロナ対応によってわかった、無くてよかったもの」については、多い順に「対面での会議」(45%)、「社内イベント」(25%)、「定時勤務」(23%)、「押印(ハンコ文化)」(21%)、「書類での申請」(19%)などの回答があります。
新型コロナ対応2年目となり、様々なものがオンライン化されています。リモート会議などもすっかり常識の範疇になっているようですので、使い方のルール等もまとめておいたほうがよいでしょう。
一方で、ネットワーク頼みのツールであるがゆえ、ネットワークに障害があった場合にどうするか、ということもこれまで以上に考えておく必要があるでしょう。
◆コロナ影響いつまで
この調査では、新型コロナによる企業活動への影響がいつまで続くと考えるかについても訪ねています。その結果は、「~2022年3月」(38%)が一番多い回答でしたが、「2022年度内まで」(41%)とする企業も多いようです。
海外では企業活動が再開しはじめているところもあります。国内企業でも本格的に動き出すところもあるのではないでしょうか。自社の制度や規程も新しい段階に向けて、一度見直しておく必要があるでしょう。
【エン・ジャパン「「コロナ禍でわかった、無くてよかったもの」調査」】