企業にとっての適正な人員構成
◆理想通りにはいかない!?
企業においては、適正な数の従業員を抱え、管理職・非管理職がそれぞれ適正な割合を占めていることが理想だと言えるでしょう。しかし、理想通りにはいっていないことが、株式会社トランストラクチャが実施した「適正人員数・人員構成に関する調査」(上場・非上場の163社が回答)の結果からわかりました。
◆管理職・非管理職のバランス
まず、「管理職と非管理職の人員比率は適正か」との質問に対し、「適正である」と回答した企業は42%、「管理職の人員比率が多すぎる」と回答した企業は41%でした。管理職・非管理職のバランス、特に賃金の高い管理職の割合の多さに悩みを抱える企業は多いようです。
◆人員構成の適正化
次に、組織のパフォーマンスを高めるために「人員構成の適正化を進めるべきか」との質問に対しては、「進めるべき」との回答が73%と非常に高く、「そうは思わない」との回答は10%にとどまりました。人員構成に悩む多くの企業が、何らかの施策を講じることが必要と考えているようです。
◆組織のパフォーマンスを高める
では、組織のパフォーマンスを高めるためには具体的にどのような施策が必要なのでしょうか?この点に関しては、「業務内容の見直しや業務プロセスの変更を進めるべき」と回答した企業が80%に上りました。会社内の業務の棚卸しを実施して全体の業務内容を見直し、適正な人員配置を行い、あわせて業務プロセスも見直すことが、無駄な残業を削減して利益を上げることに繋がるでしょう。
換気装置の設置も「受動喫煙防止対策助成金」の交付対象に
◆安衛法の改正に伴う交付要領の改正
2014年6月25日に改正労働安全衛生法が公布され、事業者は、労働者の受動喫煙を防止するため、当該事業者および事業場の実情に応じ適切な措置を講ずる努力義務が課せられるとともに、国も必要な援助に努めることとされました。これにより、7月1日付けで「『受動喫煙防止対策助成金の支給の実施について』の一部改正について」という文書が出され、一定の要件を満たす換気装置を設置する事業所等も、本助成金の交付対象とされることとなりました。
◆改正により新たに交付対象となったのは?
改正前の本助成金は、2014年5月16日の交付要領改正により、一定の要件を満たす中小事業主を対象として、事業場内において、喫煙室以外をすべて禁煙とし、一定以上の基準を満たす喫煙室を設置する場合に、その設置費用の一部を助成するものとされていました。しかし本改正により、上記以外の受動喫煙防止措置として、一定の要件を満たす換気装置の設置等の措置を講ずる場合の、工費、設備費、備品費および機械装置費等も交付対象となりました。
◆交付対象となる換気装置の要件は?
飲食店等では、客席を「喫煙スペース」と「禁煙スペース」とに分ける分煙措置による受動喫煙防止措置が取られていることが多くありますが、そうした喫煙スペースにおいて、喫煙区域の粉塵濃度が「1立方メートル当たり0.15ミリグラム以下」となるよう設計されていること、または客席がある喫煙区域における1時間当たりの必要換気量が「客席数×70.3立方メートル」となるよう設計されている場合に、交付対象となります。
メンタルヘルス支援会社の産業医紹介サービスが拡大中
◆ストレスチェックの義務化
先日、労働安全衛生法の改正案が成立し、医師、保健師などによるストレスチェックの実施が事業者に義務付けられることになりました(従業員50人未満の事業場については、当分の間努力義務)。これにより、企業は社員が精神疾患を発症する前に対策をとることが求められます。
◆産業医の紹介サービス
こうした流れを受け、次のような企業のメンタルヘルス対策を支援するサービスが拡大中のようです。
・企業が求める診断能力を持つ産業医を紹介するサービス
・グローバル化に対応し、英語版のストレスチェックを提供するサービス
・独自のストレスチェックテストで問題があった場合に産業医を派遣するサービス
◆産業医との相性も大事
従来から50名以上の労働者を雇用している事業場は、産業医による毎月の訪問、労働者の健康管理指導の実施が必要ですし、月80時間超の残業をした労働者等がいる事業場(50名未満の事業場も含む)では、労働者の疲労の程度を把握し、本人の申出により医師の面談を実施する義務があります。これらに違反する場合は行政指導の対象となります(罰則もあり)。多くの企業では、もちろん産業医の選任は行っているのでしょうが、近年のメンタルヘルス不全による職場の問題への対応が重要になってきた流れを受け、自社が求めるものと産業医との相性が合わないケースも増えてきたようです。
◆精神疾患による労災件数
過労や職場でのいじめにより「うつ病」などの精神疾患を発症したとして労災申請をした人数は、2013年度には1,409人となり、過去最多を更新しました。また、実際に労災認定された人は2年連続で400人を超えています。メンタルヘルス不全や精神疾患の発症を招かないためには、事前の対策が重要です。長時間労働や過重労働は、日ごろの労務管理で対応し、併せてこのようなサービスを利用することも検討すべきでしょう。
好況で変わってきた?新入社員の働くことに対する意識
◆「第一志望に入社」昨年から微増
日本生産性本部と日本経済青年協議会が今年度の新入社員を対象に実施した「働くことの意識」の調査結果によると、「第一志望の会社に入れた」と答えた新入社員は、質問を開始した2009年以降で過去最低を更新した昨年の52.0%から、わずかに改善され55.0%でした。その年の新入社員の就職活動が順調だったかどうかで敏感に変化する項目に、「人並み以上に働きたいか」との質問があり、景況感や就職活動の厳しさによって、「人並み以上」と「人並みで十分」が相反する動きを見せているようです。バブル経済末期(平成2~3年)には、「人並みで十分」が「人並み以上」を上回っていましたが、その後、景気が低迷すると、平成12年以降は入れ替わりを繰り返しています。最近では、平成25・26年度と「人並み以上」が減少、「人並みで十分」が増加し、新入社員の意識はバブル経済末期と同様の売り手市場の時のようになってきたようです。
◆「定年まで同じ会社で働きたい」は減少
また、「この会社でずっと働きたいか」という問いには、一昨年は過去最高を記録した「定年まで勤めたい」が28.8%に減少し、代わって「状況次第でかわる」が34.5%となり、2年連続で「定年まで勤めたい」を上回りました。不況が続いたことでしばらく増加していたものが、景況感の好転とともに減少傾向にあるようです。
◆約7割が「手当が出るなら残業はいとわない」
「残業についてどう思うか」を聞いてみたところ、昨年度に続き「手当がもらえるからやってもよい」が最多となり、昨年度の63.0%から69.4%に急増し、過去最高を更新したそうです。昨今のいわゆる「ブラック企業」による残業代の不払いなどの報道に敏感になっており、残業はいとわないけれども、それに見合った処遇を求めている傾向にあるようです。
◆「社長になりたい」は1割を下回る
また、産業能率大学がまとめた「2014年度新入社員の会社生活調査」によると、最終的に目標とする役職・地位について、「社長」と答えた人が9.0%となり、調査を開始した1990年以降で過去最低だった昨年の11.9%を下回り、初めて1割を下回りました。一方、女性の管理職登用を進める企業が増えている中、将来の進路として「管理職で部門の指揮をとる」と回答した女性の新入社員が28.8%で、過去最高となったようです。