改正育介法が10月より施行、育児休業期間が延長されます!
◆10月1日施行!
今年10月1日から「改正育児・介護休業法」が施行されますが、今回の改正により、保育園などに入れない場合の育児休業期間が最長2歳まで延長可能となりました。
◆「1歳6カ月まで」が「2歳まで」に
現在の育児休業期間は、原則、子が1歳になるまでですが、保育園に入れないなどの場合は1歳6カ月まで延長することができます。それが今回の改正により、1歳6カ月までの育児休業を取得してもなお、雇用継続のために、子が1歳6カ月に達した後に休業することが必要と認められる特別の事情があるときは、従業員から申し出ることにより、最長2歳に達するまで再延長することが可能となりました。例えば、12月で1歳6カ月までの育休が終わってしまうのに保育園に入れないという場合でも、比較的保育園に入りやすい4月まで育休を取得できるようになれば、やむを得ず退職するということが防げるようになります。延長が認められるのは、保育園へ入ることができない場合だけでなく、子の養育を行っている配偶者が病気等により子を養育することが困難になった場合なども対象です。2歳までの育児休業の申出は、1歳6カ月到達日の翌日を育児休業開始予定日としなければならないこととされていることから、遅くとも1歳6カ月到達日の翌日の労務提供開始時刻までに行わなければなりません。なお、今回の改正に伴い、育児休業給付金の給付期間も2歳までとなります。
◆その他の改正事項
今回の改正では、上記以外にも、いずれも事業主の努力義務ではありますが改正がなされました(10月1日施行)。
(1)子どもが生まれる予定の方などに育児休業等の制度などをお知らせ
従業員やその配偶者が妊娠・出産をしたこと等を知った場合、事業主はその方に個別に育児休業等に関する制度(育児休業中・休業後の待遇や労働条件等)を知らせるよう努めなければなりません。
(2)育児目的休暇の導入を促進
未就学児を育てている従業員が子育てしやすいよう、事業主は、育児に関する目的で利用できる休暇制度(例えば、配偶者出産休暇、子の行事参加のための休暇等)を設けるよう努めなければなりません。
「求人票の記載内容」と「実際の労働条件」の相違の実態!
◆「賃金」に関する相違が最多
今月初めに厚生労働省から「ハローワークにおける求人票の記載内容と実際の労働条件の相違に係る申出等の件数(平成28年度)」が発表されました。これによると、平成28年度における申出・苦情等の件数は9,299件(前年度10,937件)となり、内容別の件数は以下の通りとなっています。
【内容別件数】
・賃金:28%(前年度24%)
・就業時間:21%(同19%)
・職種・仕事の内容:14%(同13%)
・選考方法・応募書類:11%(同12%)
・休日:10%(同9%)
・雇用形態:8%(同7%)
・社会保険・労働保険:7%(同7%)
◆「求人条件と実際の労働条件が異なる」場合の対応状況
ハローワークでは、求人を受理する際に、原則として対面で求人条件を点検するなど、求人内容の適法性・正確性の確認に努めているほか、採用結果の確認時に相違がある旨の報告を受けた場合は、事実を確認し、必要に応じて是正指導等を実施しています。そして、求職者から「求人条件と実際の労働条件が異なる」といった相談があった場合には、迅速な事実確認と必要な是正指導を行うほか、法違反のおそれなどがある場合は以下の対応を行っているとのことです。
【対応状況の内訳】
・求人票の内容を変更:982件(27%)
・職業紹介の一時保留:330件(9%)
・求人取消:311件(9%)
・求人票に合わせ労働条件を変更:196件(5%)
・その他(求人票が無効等)…1,789件(50 %)
◆要因別の件数は?
なお、相違についての要因別件数としては、「求人票の内容が実際と異なる」(39%)と「求人者の説明不足」(25%)で全体の3分の2程度を占めており、「言い分が異なる等により要因を特定できないもの」が10%で続いています。
夏場に発生しやすい健康被害と「夏かぜ」について
◆今年の夏も厳しい暑さに
7月に入り全国的にも気温が上昇しています。エアコンや扇風機を使用しないと過ごしづらくなってきた職場も多いことでしょう。気象庁は、今年の夏は全国的に温度の高い空気に覆われやすく、気温は平年より高いと見込んでおり、「厳しい暑さになる」と予想しています。毎年のように「今年の夏は猛暑」というニュースを聞いているようにも思いますが、夏本番を前に、この時期特有の健康被害にもぜひ注意したいものです。
◆夏は様々な健康被害が発生する季節
熱中症、食中毒、クーラー病など、夏になると暑さによる健康被害がニュースでもしばしば取り上げられます。職場でもエアコン等の使用が適切でないと、熱中症やクーラー病など、体調を崩す要因にもなり得ます。
◆意外に多い「夏かぜ」
この季節、職場でも咳がとまらないなど「かぜ」をこじらせている人はいないでしょうか。寒い季節にかかる人が多い印象のかぜですが、“夏かぜ”にかかる人も結構多いようです。大鵬薬品工業株式会社が実施した「ビジネスシーンと夏のかぜ」に関する意識・実態調査(20~40代の有職男女1,390名が調査対象)によると、73%の人が「夏のかぜをひいた経験がある」と回答したそうです。 同調査では、「夏のかぜ」をひいた時のポピュラーな症状として、「のどの痛み」が挙げられるとしています。調査でも約94%の人が夏場に「のどの痛み」を感じた経験があると答えています(「夏のかぜ」をひいた経験があると答えた20~40代の有職男女500名が調査対象)。夏のかぜは、冬のように乾燥ではなく高温多湿を好むウイルスが原因となることが多いため、まず喉が腫れ、発熱が強く起こり、鼻や喉から気管支へ進行するのが特徴だそうです。
◆夏場の体調不良を防ぐ対策を
またまだこれから夏本番というところですが、状況に合わせて快適な職場環境を保ち、個人個人で体調管理にも気を付けながら、暑い夏を乗り切っていきたいものです。
職場の受動喫煙対策とトラブル予防
◆「健康増進法改正案」が提出見送りに
受動喫煙(他人が吸っているタバコの煙を吸わされてしまうこと)への対策を強化する健康増進法改正案について、通常国会では提出が見送られました。引き続き、成立に向けた調整が続けられる見込みです。ここでは、受動喫煙を含む「職場における喫煙」の問題について、考えてみましょう。
◆職場の受動喫煙対策は努力義務
平成27年6月より、すべての事業者には、労働者の健康保持・増進のため、職場の受動喫煙防止対策を実施するよう、努力義務が課せられています(安衛法68条の2)。対策の具体例としては、「屋外喫煙所の設置による屋内全面禁煙」や「喫煙室の設置」などが挙げられます。これらの設置に必要な経費の半額を支給する「受動喫煙防止対策助成金」をはじめ、国による支援も実施されています。
◆職場で喫煙する人の割合とタバコ休憩の実態
もちろん、受動喫煙防止対策が必要なのは、職場で喫煙する習慣のある人を多く雇用している会社です。そもそも自社に喫煙者がどのくらい在籍しているのか、把握できているでしょうか。ちなみに、厚生労働省「労働者健康状況調査」によれば、職場で喫煙する人の割合は、平成24年度で26.9%でした。また、ファイザー株式会社が平成28年に行った喫煙に関する実態調査では、喫煙者である新入社員・職員のうち、約8割が「勤務中にタバコ休憩をとる」と回答しています。1日あたりのタバコ休憩の回数は平均2.24回、1回あたりのタバコ休憩の時間は平均9.42分とのことです。多くの喫煙者が毎日、勤務中に約20分のタバコ休憩をしている計算です。
◆喫煙トラブルを予防するために
職場での喫煙は、昔からよくトラブルの「火種」になってきました。代表的なものが、「タバコ休憩は労働時間に含むのか」「タバコ休憩によって定時に業務が終わらなかったことで発生した残業にも、残業代は必要なのか」というものです。特に最近では、「働き方改革」に伴う労働時間削減、労働生産性向上といった気運の高まりから、非喫煙社員が「タバコ休憩は不公平である」とはっきり声を挙げる傾向が顕著です。他方、例えば運転中の長距離ドライバーのように、「業務上のストレス発散のためタバコが欠かせない」という社員もいるでしょう。たかがタバコと軽視せず、自社の実態を把握したうえで、方針・対策を社員に明示することが、のちの無用なトラブル予防につながります。