【4月以降の労働・社会保険事務で留意すべき改正点】
◆ 労働保険関係
育児休業給付の支給率(休業前の賃金に対する給付割合)が、休業開始後6カ月の間は、50%から67%に引き上げられます。 また、教育訓練給付金が拡充され、厚生労働省の指定講座を受ける場合の支給額が受講費用の2割から4割に引き上げられ、資格取得等のうえで就職に結びついた場合はさらに受講費用の2割を追加支給します。 また、再就職後6カ月以上職場に定着することを条件に、離職前の賃金よりも再就職後の賃金が下がった場合には、再就職手当の他に就業促進定着手当(上限あり)が支給されます。 この他、特定理由離職者等の失業等給付の給付日数に関する暫定措置が、3年間延長されました。
◆ 年金保険・企業年金関係
2014年度の国民年金保険料は15,250円です。 また、2014年度の年金額は、0.7%引き下げられて64,400円となり、4月分の年金が支給される6月から変わります。 さらに、4月1日以降に妻が死亡した父子家庭にも遺族基礎年金が支給されることとなった他、産休期間中の保険料免除制度が4月からスタートし、この対象となるのは4月30日以後に産休が終了する被保険者です。 この他、厚生年金基金制度の原則10年後廃止を定めた、いわゆる「厚生年金基金見直し法」が4月1日より施行されています。
◆医療保険関係
3月末までに70歳に達している方を除いて、70~74歳の方の医療費の窓口負担が本来の2割負担となりますが、高額療養費の自己負担限度額については据え置かれることとなります。
また、後期高齢者医療の保険料率が改定され、2014年度から2015年度の保険料額は全国平均で月額5,668円(見込)となります。
◆介護保険関係
第2号被保険者が負担する介護保険料が月額平均5,273円(見込)となりますが、実際の保険料額は被保険者の加入する健康保険の種類によって異なります。
【20分で8時間分の疲労回復効果!?侮れない「昼寝」の効用】
◆健康づくりのための「睡眠」のポイント
11年ぶりに改定されることとなった「健康づくりのための睡眠指針」では、若年・勤労・熟年の世代別に、年齢等に応じた睡眠のポイントを示しています。
勤労世代については、疲労回復・能率アップのため、毎日6時間以上8時間未満の睡眠を取るようアドバイスしています。睡眠不足が続くと「寝だめ」で回復を図ろうと考えがちですが、効果はないとしています。
また、就業時間中に眠気が生じた場合には、午後早めの時間に30分以内の昼寝をすると作業能率の改善に効果的であるとしています。
◆短時間睡眠「パワーナップ」の効用
「パワーナップ」とは、アメリカの社会心理学者ジェームス・マースが提唱する睡眠法で、時間当たりの睡眠の効用を最大限に引き出す方法とされています。
昼食後、午後3時までの間に20分の仮眠を取ると、8時間寝たのと同じくらいの疲労回復効果があり、その後の作業効率が上がるとしています。
アメリカ海兵隊にも取り入れられるほど浸透しているようで、オーストラリアでもドライバーの疲労による事故リスクを軽減するため、15分ほどのパワーナップを勧めているところがあるそうです。
◆職場で実践する場合のやり方
最も効果的なのは、昼休みの前半にランチを食べ、コーヒーを飲んでから後半に20分の昼寝をする方法です。寝る前にコーヒーを飲む理由は、コーヒーに含まれるカフェインの効果が目覚める頃に現れるようにするためです。
寝る時の姿勢は、椅子にもたれるか机に突っ伏すのが良いとされています。横になるとすぐに深い眠りに落ちてしまい、20分で起きるのが難しくなってしまうからです。
そして、最も重要なのは「20分」という時間を守ることです。昼寝時間が長くなると深い睡眠に入ってしまい、起きることが難しくなってしまいますし、夜の睡眠にも悪影響が出てしまいます。
睡眠不足が続いて疲れを感じるというときには、ぜひ試してみてください。
【大学生・大学院生が「働きたい組織」の特徴は?】
◆アンケート調査の結果から
株式会社リクルートキャリア:就職みらい研究所から、「働きたい組織の特徴」に関するアンケート調査の結果が公表されました。このアンケートは、2015年3月卒業予定の大学・大学院生(34万7,992人)を対象に行われました(回収数9,363人)。
大学生(全体)の働きたい組織の特徴は、「コミュニケーションが密で、一体感を求められる」「仕事と私生活のバランスを自分でコントロールできる」「ウェットな人間関係で、プライベートも仲が良い」「安定し、確実な事業成長を目指している」「周囲に優秀な人材が多く、刺激を受けられる」などの回答が多くを占めたとのことです。
◆属性別の特徴
属性別の特徴は次の通りです。
- 大学生(男性・文系)⇒「全国や世界など、幅広い地域で働く」「評価の良し悪しによって給与が大きく変化する」などの価値観が特徴。
- 大学生(男性・理系)⇒「これまでの経験(学業など)を活かして成長できる」「経営者主導で事業運営が行われている」などの価値観が特徴。
- 大学生(女性・文系)⇒「評価の良し悪しによって給与があまり変化せず、安定的な収入が得られる」「これまでの経験(学業など)とは無関係に、ゼロから学べる」などの価値観が特徴。
- 大学生(女性・理系)⇒「これまでの経験(学業など)を活かして成長できる」「評価の良し悪しによって給与があまり変化せず、安定的な収入が得られる」などの価値観が特徴。
- 大学院生(全体)⇒「これまでの経験(学業など)を活かして成長できる」「企業固有の技術や商品、ブランド、ノウハウなどが強みとなっている」「歴史や伝統がある企業である」「全国や世界など、幅広い地域で働く」などの価値観が特徴。
◆今年の新入社員は“自動ブレーキ装置”タイプ
日本生産性本部から発表された平成26年度の「新入社員の特徴」は、「頭の回転は速いものの、困難な壁はぶつかる前に未然に回避する傾向がある」とし、“自動ブレーキ装置”タイプと命名されました。
何事も安全運転の傾向があり、人を傷つけない安心感はあるが、どこか馬力不足との声もあるようですが、安心感と刺激が得られる環境の中でこそ力を発揮できるのは、どんな時代にも共通していることなのかもしれません。
【ハローワークの求人票に苦情多数! 厚労省が対策強化】
◆7,000件以上の苦情
ハローワーク(公共職業安定所)で公開している求人票の記載内容が、実際の労働条件とかけ離れているという苦情が多いようです。
いわゆる「ブラック企業」が社会問題となっている昨今、求人票との食い違いがブラック企業への入り口になっているとの指摘を受け、厚生労働省が平成24年度に全国のハローワークに寄せられた申出について調査したところ、求人票の記載内容と実際の労働条件が異なるといった申出が7,783件に上ったそうです。
◆どんな苦情が多かったか?
求人票の記載内容に関する求職者からの申出・苦情等の具体的な内訳を見てみると、「賃金に関すること」(2,031 件)、「就業時間に関すること」(1,405 件)、「選考方法・応募書類に関すること」(1,030 件)が上位を占めました。
その他にも、「雇用形態」「休日」「社会保険・労働保険」に関することなどについての苦情も多かったようです。
◆厚労省が相談を呼びかけている事例
厚生労働省では、ハローワークで公開している求人票の記載内容が実際の労働条件と大きく違っていた場合には、「ハローワーク求人ホットライン」で相談を受け、事実確認のうえ、会社に対し是正指導を行っていくとのことです。
具体的に同省が相談を呼びかけている事例としては、「面接に行ったら求人票より低い賃金を提示された」、「採用の直前に求人票にはなかった勤務地を提示された」、「『あり』となっていた雇用保険、社会保険に加入していない」などが挙げられています。
◆記載内容をめぐる具体的な対策
これらの状況を踏まえ、今後は以下の対策を行い、求人票の記載内容の正確な把握に努め、求職者の期待と信頼に応えられる職業紹介・就職支援を行っていくそうです。
- ハローワーク求人ホットライン(求職者・就業者専用)の開設
- ホットラインへの申出について事実確認と必要な指導などを徹底
- 申出の集計・分析を行い、未然防止策の検討・実施に活用