採用手続のオンライン化により新卒のUターン希望者が増加
◆5年ぶりにUターン希望者が増加
株式会社マイナビが2022年3月卒業予定の全国の大学生、大学院生(5,910名)を対象に実施した「マイナビ 2022年卒大学生Uターン・地元就職に関する調査」で、57.8%の学生が「地元就職を希望」と回答し、2017年卒以来の増加となっています。
要因としては、就職活動のオンライン化により帰省しなくても自宅で選考を受けられるケースが増え、地元企業を受けやすくなったことが考えられると分析されています。
◆WebセミナーやWeb面接の実施も好感触
同調査結果によれば、地元企業がWebセミナーやWeb面接を実施している場合の志望度への影響について、Webセミナー実施により志望度が上がるとの回答が18.5%、Web面接実施により志望度が上がるとの回答が57.1%で、いずれも昨年の回答より増えているそうです。コロナ禍により募集・採用活動に影響が出ている企業も少なくありませんが、オンライン化により学生の志望度が高まるという情報は、朗報といえそうです。
◆働く場所で東京を選んだ学生は12.7%
また、テレワークの普及などにより働く場所の制限が低くなっているためか、働く場所が自由になった際の理想として「東京の企業に勤めたい」と回答した学生は19.7%で、昨年より0.5ポイント減少する一方、「地元の企業に勤めたい」と回答した学生は48.2%で、昨年より1ポイント増えています。
さらに「自然が豊かな地方で働いてみたい」と回答した学生は43.2%と、昨年から3.5ポイント増加し、「東京離れ」を考える人が増えていることがわかります。
◆テレワーク導入コスト対策として助成金を活用できることがある
業務のオンライン化やテレワークの導入に対する関心は、都市部の企業のほうが高い傾向にあるとの報道もありますが、このように、採用活動においては地方の企業に大きなメリットがありそうです。
厚生労働省の人材確保等支援助成金(テレワークコース)では、良質なテレワークを新規導入・実施することにより、人材確保や雇用管理改善等の観点から効果をあげた中小企業事業主に対して、機器等導入に関する助成と目標離職率の達成による目標達成助成を行っています。
優秀な学生を採用するための取組みの一環としても、業務のオンライン化やテレワークの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
新型コロナ感染拡大の仕事や生活への影響に関する最新調査
~(独)労働政策研究・研修機構
(独)労働政策研究・研修機構が、新型コロナウイルス感染拡大の仕事や生活、企業への影響についてまとめた最新の調査結果を公表しました。
◆個人調査:第4回「新型コロナウイルス感染拡大の仕事や生活への影響に関する調査」(一次集計)結果(2021年4月30日)
この調査は、昨年からの連続パネル調査で、今回(3月調査)が4回目の実施です。調査結果によると、直近の月収額について、通常月の月収と「ほぼ同じ」との回答が3分の2程度(68.8%)である一方、「減少した」との割合も引き続き4分の1超(27.2%)となっており、過去の調査と単純に比較すると、実労働時間の長さが戻り切らないこと等を反映して、一定程度の「減少」が常態となりつつあることなどがわかったとされています。
https://www.jil.go.jp/press/documents/20210430a.pdf?mm=1680
この調査に関連した以下の分析結果も公表されているので、参考にしてください。
☆リサーチアイ 第58回「新型コロナ感染症拡大下における雇用調整助成金利用企業の特徴と助成金の効果─JILPT企業調査二次分析」(2021年4月2日)
https://www.jil.go.jp/researcheye/bn/058_210402.html?mm=1680
☆リサーチアイ 第53回「新型コロナウイルス流行下(2020年2~9月)の企業業績と雇用─「第2回新型コロナウイルス感染症が企業経営に及ぼす影響に関する調査」二次分析─」(2021年2月3日)
https://www.jil.go.jp/researcheye/bn/053_210203.html?mm=1680
◆企業調査:第3回「新型コロナウイルス感染症が企業経営に及ぼす影響に関する調査」(一次集計)結果(2021年4月30日)
この調査は、昨年6月からの連続パネル調査で、今回(2月調査)が3回目の実施です。テレワークの実施経験企業は約4割、現在(1月末)も実施している企業は約3割で、一定の効果がみられた一方、コミュニケーション、業務の進捗把握、業務の切り出し等、実施上の課題も浮き彫りになっていることなどがわかったとされています。
https://www.jil.go.jp/press/documents/20210430b.pdf?mm=1680
この調査に関連した以下の分析結果も公表されているので、参考にしてください。
☆リサーチアイ 第58回「新型コロナ感染症拡大下における雇用調整助成金利用企業の特徴と助成金の効果─JILPT企業調査二次分析」(2021年4月2日)
https://www.jil.go.jp/researcheye/bn/058_210402.html?mm=1680
☆リサーチアイ 第53回「新型コロナウイルス流行下(2020年2~9月)の企業業績と雇用─「第2回新型コロナウイルス感染症が企業経営に及ぼす影響に関する調査」二次分析─」(2021年2月3日)
https://www.jil.go.jp/researcheye/bn/053_210203.html?mm=1680
「職場のハラスメントに関する実態調査」の報告書が公表されました
厚生労働省委託事業「職場のハラスメントに関する実態調査」(令和2年10月実施。調査実施者:東京海上日動リスクコンサルティング株式会社)について、報告書が取りまとめられました。職場でのハラスメントの予防・解決の参考にしてください。
◆ハラスメントの発生状況・ハラスメントに関する職場の特徴
○過去3年間のハラスメント相談件数の推移については、パワハラ、顧客等からの著しい迷惑行為、妊娠・出産・育児休業等ハラスメント、介護休業等ハラスメント、就活等セクハラでは「件数は変わらない」の割合が最も高く、セクハラのみ「減少している」の割合が最も高かった。
○職場の特徴として、パワハラ・セクハラともに「上司と部下のコミュニケーションが少ない/ない」、「ハラスメント防止規定が制定されていない」、「失敗が許されない/失敗への許容度が低い」、「残業が多い/休暇を取りづらい」等の特徴について、ハラスメントを経験した者と経験しなかった者の差が特に大きい。
◆ハラスメントの予防・解決のための取組状況
○パワハラ、セクハラおよび妊娠・出産・育児休業等・介護休業等ハラスメントに関する雇用管理上の措置として、「ハラスメントの内容、ハラスメントを行ってはならない旨の方針の明確化と周知・啓発」および「相談窓口の設置と周知」を実施している企業は8割程度だが、「相談窓口担当者が相談内容や状況に応じて適切に対応できるための対応」の割合は4割程度であった。
○すべてのハラスメントにおいて、勤務先が「積極的に取り組んでいる」と回答した者で、ハラスメントを経験した割合が最も低く、「あまり取り組んでいない」と回答した者は経験した割合が最も高い。
◆ハラスメントを受けた経験
○パワハラ、セクハラおよび顧客等からの著しい迷惑行為について、過去3年間での勤務先での経験有無・頻度を聞いたところ、各ハラスメントを一度以上経験した者の割合は、パワハラが31.4%、顧客等からの著しい迷惑行為が15.0%、セクハラが10.2%となった。
◆ハラスメント行為を受けた後の行動、ハラスメントを知った後の勤務先の対応
○ハラスメントを受けた後の行動として、パワハラ、セクハラでは「何もしなかった」の割合が最も高かった。一方、顧客等からの著しい迷惑行為では、「社内の上司に相談した」の割合が最も高く、次いで「社内の同僚に相談した」が高かった。
○ハラスメントを知った後の勤務先の対応としては、パワハラでは「特に何もしなかった」(47.1%)、セクハラでは「あなたの要望を聞いたり、問題を解決するために相談にのってくれた」(34.6%)、顧客等からの著しい迷惑行為では、「あなたの要望を聞いたり、問題を解決するために相談にのってくれた」(48.6%)の割合が最も高かった。
テレワークを行う従業員の本音は?
◆テレワークを行う従業員の本音は?
連合総合生活開発研究所(連合総研)が行った「第 41 回 勤労者短観(勤労者の仕事と暮らしについてのアンケート調査)」は、全国の20代から60代前半までの民間企業に雇用されている人(4,307人)を対象に行われたものです。今回の調査結果(速報)では、よりテレワークを行う従業員の本音に近い回答を知ることができます。
◆Zoom等の利用状況
ビデオ対話型のコミュニケーションツール(ZoomやSkype、Teams、Webexなど)の利用状況を尋ねたところ、下記の項目については、全体では「まったく使わない」という回答が60~70%となっています。
○職場の会議・打ち合わせ
○取引先や顧客との打ち合わせ(オンライン商談など)
○上司への報告・連絡・相談
○教育研修
いくつかの機関で行われているテレワークの実施率の調査を見ると、実施率は30%程度のようですので、それと符合しているようにも見えます。
◆会社の支援
パソコンの貸与や業務に必要なデータ等へのアクセス方法を会社が準備するのは当然として、さらに一方踏み込んだ支援も必要ないようです。調査では、次のような施策について、会社の支援が少ないと感じている人が多いようです。カッコ内は「あまり支援されていない」と「全く支援されていない」の回答の合計です。
○在宅勤務・テレワークの実施に向けた研修の実施(64.9%)
○通信費に対する手当の支払い(75.8%)
○光熱費に対する手当の支払い(78.7%)
テレワークの実施率は相対的には低いとはいえ、今回のコロナ禍を機に、コミュニケーションツールは一段と進歩しましたし、リモートで仕事ができる環境整備の必要性については、一過性のもので終わることはないと思われます。これからの労務管理でむしろ積極的に検討すべきポイントとなるでしょう。
【連合総研「第41回勤労者短観 調査結果(速報)の公表について」】
https://www.rengo-soken.or.jp/work/2021/04/271300.html