2022年11月

2023年卒大学生の就職活動実態調査~マイナビ9月調査より

 

株式会社マイナビが、2023年卒業予定の全国の大学生・大学院生(以下、「学生」という)を対象に実施した「マイナビ 2023年卒大学生 活動実態調査(9月)」の結果が発表されました。来年入社予定の学生の動向がうかがえます。

 

◆9月末時点での内々定率は87.3%で過去最高

企業の採用意欲が高まっていることを受けてか、9月末時点での学生の内々定率は過去最高の87.3%となっています。学生の平均内々定保有社数は2.5社で、前年よりも0.2社増加しています。

 

◆内定通知書に関して

「内定通知書」については、「選考を通過し、自分がその企業に入社する権利があることを企業が伝える書類」と認識している学生が最も多く(27.8%)、本来の意味である「受け取ることで条件付きの労働契約(始期付解約権留保付労働契約)が成立する書類」であると認識している学生は最も少ない(12.8%)という結果が出ています。書類が持つ法的意味について、企業側からの説明が何かしら必要なのかもしれません。

 

◆面接時のストレス

多くの学生は、志望企業を絞ってインターンシップなどを体験しており、選考に参加している時点で、その企業への志望度合は高いはずです。しかし、第一志望ではない企業の選考の際にその企業の志望順位を聞かれるケースも多いようで(85.9%)、その際、「第一志望であると回答したが、ストレスを感じた」(42.3%)、「本当の志望順位を回答したが、ストレスを感じた」と、明確な志望順位を聞かれることにストレスを感じる学生が半数以上いることがわかりました。

 

◆社会人として活躍するまでに想定している期間

社会人として活躍するまでにどれくらいの期間を想定しているかという質問に対して最も多かった回答は、「入社後3年目」(45.5%)でした。一方で、「1年目(即戦力として活躍したい)」が9.8%、「2年目」が24.9%と、早い時期から活躍したいと考えている学生も一定数いるようです。

【マイナビ「「2023年卒大学生 活動実態調査(9月)」を発表」】

https://www.mynavi.jp/news/2022/10/post_36989.html

副業・兼業の実態調査と導入の検討に向けて

 

先ごろ、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」パンフレットの改訂版が厚生労働省から公表されました。7月に改訂された兼業副業ガイドラインの解説や副業・兼業に関するモデル就業規則の規定、各種様式例がまとめられています。こうしたことを踏まえ、従業員の副業・兼業の許可を検討する企業もあると思います。その前提として、副業等の実態がどうなっているのかは押さえておきましょう。

 

◆パーソル総合研究所の調査から

2021年の調査になりますが、パーソル総合研究所が従業員10人以上の企業に対して行った調査によると、次のような実態がわかります。

【企業側】

・副業の全面禁止は45.1%。容認(全面・条件付き)は55.0%で、2018年より3.8ポイント微増。

・副業人材を実際に受け入れているのは23.9%、受入れ意向はあるが現在受入れがないのは23.9%、受入れ意向なしは52.3%

【従業員側】

・実際に副業をしている人は9.3%(年収1,500万円以上の高所得層に多い)

・現在していないが副業意向がある人は40.2%(低所得層になるほど多い)

・動機は職種によらず、「収入の補填」が最多

この調査では、他に過重労働リスクにつながりにくい副業の特徴と、職場支援のあり方などについても報告されていますので、副業・兼業の許可を検討する際に参考になるでしょう。

 

◆就業規則等の整備が必要です

副業・兼業を認めるにあたっては、就業規則等の社内規程の整備や届出、労働時間の通算や健康確保等についての検討、社会保険や労災についても確認しておくべきことがあります。また、当然ながら秘密保持や競業避止の面からの検討も必要になります。

これらの対応や社内規程の整備については、弊所にご相談ください。

【厚生労働省「副業・兼業」】

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000192188.html

【パーソル総合研究所「第二回 副業の実態・意識に関する定量調査」】

https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/sidejob2.html

 

新入社員の理想の上司・先輩は、「仕事について丁寧に指導する人」
~日本能率協会の調査より

一般社団法人日本能率協会は、2022年度の「新入社員意識調査」を取りまとめました。協会が提供する新入社員向け公開教育セミナーの参加者を対象に、仕事や働くことに対しどのような意識を持っているかを調査したもので、4月4日~4月8日にインターネット調査で実施し、545人から回答を得ています。

 

◆理想の上司・先輩は、「仕事について丁寧に指導する人」が71.7%で1位

理想の上司・先輩を尋ねたところ、「仕事について丁寧な指導をする上司・先輩(71.7%)」が1位で、2012年以降の調査で過去最高となりました。

一方、2012年、2014年に数値の高かった「場合によっては叱ってくれる上司・先輩」や「仕事の結果に対する情熱を持っている上司・先輩」は、今回の調査では大幅に数値が下がっています。

 

◆仕事の不安は、「上司・同僚など職場の人とうまくやっていけるか」が64.6%で1位

仕事をしていくうえでの不安については、「上司・同僚など職場の人とうまくやっていけるか(64.6%)」が1位となりました。続く2位は「仕事に対する現在の自分の能力・スキル(53.4%)」となっています。

社内の人間関係に不安を感じている一方で、社外の人間関係については「社外の人との人脈を築けるかどうか」が8.1%に留まり、社外の人脈づくりに対する不安は年々減っています。

 

◆抵抗がある業務は、「指示が曖昧なまま作業を進めること」が1位

仕事をしていくうえでの抵抗感について尋ねたところ、「上司や先輩からの指示が曖昧でも、質問しないで、とりあえず作業を進める」ことに「抵抗がある」(「抵抗がある」+「どちらかと言えば抵抗がある」)との回答が、82.7%で1位でした。

「指示が曖昧なまま作業を進めること」に対しては、8割が抵抗を感じており、質問のしやすい風土や対応が求められています。

【一般社団法人日本能率協会「2022年度 新入社員意識調査」】

https://jma-news.com/wp-content/uploads/2022/09/20220912_new_employees_2022.pdf

 

高齢者の人口・就業者数が過去最高に~総務省統計より

 

総務省は、「敬老の日」(9月19日)にちなんで、我が国の65歳以上の高齢者(以下、「高齢者」という)の人口、就業について取りまとめました。

 

◆75歳以上の人口が初めて15%超に

統計結果によると、高齢者の人口(2022年9月15日現在推計)は3,627万人(前年比6万人増)で過去最多に、総人口に占める割合は29.1%(前年比0.3ポイント増)で過去最高となっています。また、75歳以上の人口は1,937万人(前年比72万人増)となり、総人口に占める割合は15.5%と、初めて15%を超えました。これは、いわゆる「団塊の世代」(1947年~1949年生まれ)が2022年から75歳を迎え始めたことによると考えられます。

 

◆非正規の高齢就業者が増加

2021年の総務省の労働力調査によると、高齢者の就業者(以下、「高齢就業者」という)数は909万人(前年比6万人増)で、18年連続で過去最多となっています。

また、高齢者の就業率(65歳以上の人口に占める就業者の割合)は25.1%(前年と同率)となっています。年齢階級別では、65~69歳の就業率は、10年連続で上昇し50.3%(前年比0.7ポイント増)で初めて50%を超え、70歳以上の就業率は、5年連続で上昇し18.1%となっています。

高齢就業者を従業上の地位別にみると、役員を除く雇用者が517万人(57.6%)で最も多くなっています。さらにこれを雇用形態別にみると、非正規の職員・従業員が393万人(75.9%)となっています。なお、非正規の職員・従業員は、2011年の168万人から2021年では393万人と、10年間で225万人増加しています。

 

◆世界的にも就業率は高水準

国際的にみると、日本の高齢者人口の割合(29.1%)は世界で最も高く、次いでイタリア(24.1%)、フィンランド(23.3%)、プエルトリコ(22.9%)などとなっています。また、主要国における高齢者の就業率についても、日本(21.5%)は韓国(34.9%)に次いで高い水準となっています。

高齢就業者は今後も増加することが予想されます。企業は国の政策や支援制度を活用して、いっそう高齢者の雇用対策に取り組む必要がありそうです。

【総務省統計局「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」】

https://www.stat.go.jp/data/topics/topi1320.html