2023年6月

新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応

 

◆5類移行に伴う新型コロナに対する考え方は?

5月8日から、新型コロナウイルス感染症は感染症法上の位置づけを「5類感染症」に引き下げ、マスクの着用や外出自粛の要請は季節性インフルエンザと同様に、企業や個人に委ねられることになりました。

そのうえで、厚生労働省は、新型コロナウイルスに感染した場合、これまでの分析結果や諸外国の事例を踏まえ、以下を推奨しています。

○発症後5日を経過し、かつ、症状軽快から24時間経過するまでの間は外出を控える

○発症後10日間が経過するまでは、マスクを着用し高齢者等との接触は控える

また、濃厚接触者として保健所から特定されることはなくなり、外出自粛を要請されることはなくなりました。

家族や同居者が新型コロナウイルスに感染した場合は、可能であれば部屋を分け、感染者の世話はできるだけ限られた人のみで行うことなどに注意する必要があります。また、感染者の発症日を0日として、特に5日間は自身の体調に注意し、7日目までは発症する可能性があるため、マスク着用等の感染対策や周囲への配慮が必要です。

 

◆医療提供体制について

これまでは新型コロナウイルスに感染した場合、限られた医療機関でのみ受診可能でしたが、5月8日以降は、幅広い医療機関での受診が可能になります。また、PCR検査や入院・外来の医療費については、季節性インフルエンザなどと同様に健康保険が適用され、1割から3割の自己負担が基本となります。

また、新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金については、これまでは療養担当者意見欄(申請書4ページ目)の証明の添付が不要でしたが、5月8日以降の申請については、医師の証明が必要となりますので注意が必要です。

【厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応について」】

https://www.mhlw.go.jp/stf/corona5rui.html

【全国健康保険協会「新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の申請について」】

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/event/cat550/covid_19/shinsei/

 

2023年度卒新入社員の意識
~東京商工会議所「2023年度 新入社員意識調査集計結果」より

 

東京商工会議所が、2023年卒の新入社員1,050人を対象に、WEB上で社会人生活や仕事に対する意識調査を実施し、その結果が公表されました。今後の採用活動で参考となりそうな項目について取り上げます。

 

◆就職先の会社を決める際に重視したこと「社風、職場の雰囲気」60.0%

半数以上が、職場の雰囲気に重きを置いています。その他、「処遇面(初任給、賃金、賞与、手当など)」(51.5%)、「福利厚生」(41.6%)、「働き方改革、ワーク・ライフ・バランス(年休取得状況、時間外労働の状況など)」(40.3%)が上位にあがっています。

◆就職先の会社が内定から入社までの間に実施したフォローの取組み

「採用担当者からの定期的な連絡」(43.2%)、「会社見学会」(29.0%)、「内定式・内々定式」(27.6%)が上位となっています。内定から入社まで期間が空くので、単純に不安に思う学生も多いことでしょう。

 

◆社会人生活で不安に感じること

「仕事と私生活とのバランスが取れるか」(42.0%)、「上司・先輩・同僚とうまくやっていけるか」(40.7%)、「仕事が自分に合っているか」(40.0%)が上位を占めていますが、9割強の新入社員は、社会人生活で何らかの不安を感じているとの結果が出ています。

 

◆「理想だと思う上司」はどのようなことを大事にしたり重視する人か

「理想の上司」のイメージに近い有名人・著名人の各上位は以下の通りです(カッコ内は回答数)。

○芸能人・文化人:1位…水卜麻美(43)、2位…明石家さんま(39)、3位…桝太一(35)、4位…松本人志(30)、5位…内村光良(29)

○スポーツ界:1位…大谷翔平(234)、2位…イチロー(141)、3位…栗山英樹(58)、4位…松岡修造(40)、5位…ダルビッシュ有(37)

○歴史上の人物:1位…織田信長(120)、2位…徳川家康(94)、3位…坂本龍馬(80)、4位…豊臣秀吉(44)、福沢諭吉(44)

【東京商工会議所「2023年度 新入社員意識調査集計結果」】

https://www.tokyo-cci.or.jp/file.jsp?id=1034060

 

 

ハラスメントが起きたときの職場の対応は?

 

◆企業におけるハラスメント対応

改正労働施策総合推進法の施行により、令和2年6月(中小企業では令和4年4月)から職場のパワハラ防止対策が義務化され、多くの企業ではハラスメント防止対策に一層取り組んでいるところです。

労働者側のハラスメントへの意識も高まっていることで、現場では様々なハラスメント事案への対応に迫られる機会も増えていることでしょう。

 

◆ハラスメントが起きたときの対応

実際にハラスメント事案が発生した場合の対応については、最も悩ましいところです。東京都産業労働局「職場のハラスメント防止への取組等 企業における男女の雇用管理に関する調査」によれば、従業員が相談した際の職場の対応は「被害者へのヒアリング」の割合が多く、行為者への処分としては、「けん責(口頭又は文書での注意等)」が62.5%で最多、次いで「配置転換」29.4%、「出勤停止」11.3%、「降格」11.0%が続いています。被害者への対応は、「加害者を配置転換させる等当事者間を引き離すよう人事上の配慮をした」が 58.6%で最多、「被害者の精神的なショックが大きかったため、メンタルケアを行った」28.8%、「加害者から被害者への謝罪をあっせんした」25.2%となっています。

 

◆難しい対応を迫られる

ハラスメント事案が発生し、当事者や第三者への事実確認のヒアリングを行ったものの、判断に迷うというケースは少なくありません。その後の対応がさらなるトラブルを生む可能性もあります。企業としては、状況を踏まえて引き続き適切な対応を検討していく必要があるでしょう。

【東京都産業労働局「職場のハラスメント防止への取組等 企業における男女の雇用管理に関する調査」】

https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/toukei/koyou/1be96aac53912c555aea1ea55f8330e8.pdf

 

 

6月は「プライド月間」です
~多様な人材が活躍できる職場環境づくりを

 

◆性的少数者のための「プライド月間」

毎年6月は「プライド月間」と呼ばれ、日本を含む世界各地で性的少数者(LGBTQ)の権利向上、平等、理解促進のためのイベントが行われます。シンボルであるレインボーカラーを使ったロゴを作成するなど、この期間に支援を表明する企業も年々増加しています。多様性の尊重は、時代の大きなテーマとなっています。

 

◆多様な人材が活躍できる職場環境づくりを

法律もこの流れを後押ししています。改正労働施策総合推進法によって、令和4年4月から中小企業にもパワハラ防止措置が義務化されており、そのなかで、「性的指向と性自認(SOGI)」に関するハラスメントもパワハラに当たることが明記されています。

しかしながら、同性婚を巡り差別発言をした首相秘書官が更迭されるなど、いまだ理解が十分とはいえません。知識や対応の不足は、当事者や関係者を傷付けて紛争の種となるだけでなく、企業にとってはレピュテーションリスクにもなり得ます。

厚生労働省は、「多様な人材が活躍できる職場環境に関する企業の事例集~性的マイノリティに関する取組事例~」を作成し、性的少数者を含めた多様な人材が活躍できる職場環境づくりの推進を図っています。多様性の尊重のために企業には何ができるのか、こうした資料を使いながら、プライド月間に従業員の皆様とともに考えてみてはいかがでしょうか。

【厚生労働省「職場におけるダイバーシティ推進事業について」】

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/0000088194_00001.html