「物流革新に向けた政策パッケージ」案が公開されました
トラックドライバーの長時間労働が規制され、荷物の3割が届けられなくなるとも示唆される物流の2024年問題について、令和5年6月2日に行われた関係閣僚会議で対策がまとめられました。
大きく分けて(1)商慣行の見直し、(2)物流の効率化、(3)荷主・消費者の行動変容について、抜本的・総合的な対策を行うことで、荷主企業、物流事業者(運送・倉庫等)、一般消費者の3者が協力して物流を支える環境を整備することを目指しています。
◆商慣行の見直し
① 荷主・物流事業者間における物流負荷の軽減 ② 納品期限、物流コスト込み取引価格等の見直し ③ 物流産業における多重下請構造の是正 ④ トラックGメン(仮称)の設置等 ⑤ 担い手の賃金水準向上等に向けた適正運賃収受・価格転嫁円滑化等 ⑥ トラックの「標準的な運賃」制度の拡充・徹底
◆物流の効率化
① 即効性のある設備投資の促進 ② 物流GXの推進 ③ 物流DXの推進 ④ 物流標準化の推進 ⑤ 物流拠点の機能強化や物流ネットワークの形成支援 ⑥ 高速道路のトラック速度規制の引上げ ⑦ 労働生産性向上に向けた利用しやすい高速道路料金の実現 ⑧ 特殊車両通行制度に関する見直し・利便性向上 ⑨ ダブル連結トラックの導入促進 ⑩ 貨物集配中の車両に係る駐車規制の見直し ⑪ 地域物流等における共同輸配送の促進 ⑫ 軽トラック事業の適正運営や安全確保 ⑬ 女性や若者等の多様な人材の活用・育成
◆荷主・消費者の行動変容
① 荷主の経営者層の意識改革・行動変容 ② 荷主・物流事業者の物流改善の評価・公表 ③ 消費者の意識改革・行動変容を促す取組み ④ 再配達率「半減」を含む再配達削減 ⑤ 物流に係る広報の推進
政府は今後、速やかに2024年における規制的措置の具体化を前提として荷主企業・物流事業者が取り組むべき事項をガイドラインとして策定し、荷主・物流事業者等に対し、業種・分野別の「自主行動計画」を年内目途に作成・公表することを要請する予定です。さらに、2023年末までにトラック輸送に係る契約内容の見直しに向けた「標準運送約款」「標準的な運賃」の見直しや、再配達半減に向けた対策等、2024年通常国会での法制化を視野に段階的に推進していくとしています。物流事業車・運送業者を顧問先に持つ場合はもちろんのこと、他業種も消費者として無関係ではいられません。ドライバーの負担軽減のため、取組みを進めましょう。
【内閣官房「物流革新に向けた政策パッケージ(案)」】
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/buturyu_kakushin/dai2/siryou.pdf
人手不足に陥っていない企業はどういった施策をとっているか
総務省の統計では、2022年12月時点で、日本の15~64歳人口は前年同月比0.28%減、人数にすると20万8,000人も減っています。また、これから働く年齢になる15歳未満人口は同29万3,000人も減少しています。総人口の推移を見ると、2019年以降加速度的に減少しており、2023年5月時点の概算では、総人口は前年同月比57万人減となっています。
◆人手が不足していない企業がしていること
新型コロナの5類移行を受け、多くの企業で人手不足感が高まるなか、不足していないという企業もあります。帝国データバンクのアンケート調査の結果によると、「人手が不足していない要因」(複数回答)として、主に次のような施策を挙げた企業が多くありました。
(1)賃金や賞与の引上げ(51.7%)
(2)働きやすい職場環境づくり(35.0%)
(3)定年延長やシニアの再雇用(31.2%)
(4)福利厚生の充実(26.6%)
(5)公平で公正な人事評価(22.0%)
(2)の「働きやすい職場環境」とは清潔保持や休憩スペース、社内相談窓口の設置などです。また、(4)と(5)は、労働者が自身の成長を感じられたり、安心できる職場にあるという施策です。
◆賃上げの必要性
世界的な物価高騰を受け実質賃金が低下するなか、賃金や賞与の引上げに取り組めない企業(あるいは取り組む姿勢を見せていない企業)では、従業員満足度や安心感が低下して優秀な人材が流出し、企業の競争力低下から新規採用もおぼつかなくなる、運よく採用できたとしても人を育てる余裕がなく早期離職……、というような悪循環に陥ります。
「人は石垣、人は城」という古語にもある通り、会社を支える一番の力は、信頼できる人の力です。会社を信頼してくれる従業員が1人でも多く育つよう、会社は自らの進む先を示しつつ率先して変わるべきでしょう。
【帝国データバンク「企業における人材確保・人手不足の要因に関するアンケート」】
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p230506.pdf
マイナンバーカードの登録情報が誤っていた場合の対処
◆誤紐付けが相次いで発覚
マイナンバーカードに紐付けされた情報に次々と誤りが見つかっています。万が一誤った情報が登録されていることに気づいた場合の対処法を紹介します。
◆健康保険証情報
フリーダイヤル(0120-95-0178。音声ガイダンスに従って「4→2」に進む)か、加入している医療保険の保険者に問い合わせます。
情報が正しく登録されているかを確認する場合は、マイナポータルにログインし、「注目の情報」の「最新の健康保険証情報の確認」を押して、「あなたの健康保険証情報」から、登録されている健康保険証情報を確認します。
◆公金受取口座情報
マイナポータルにログインし、「注目の情報」の「公金受取口座の登録・変更」を押して「公金受取口座の登録状況ページ」にて、登録されている情報を確認します。口座情報に誤りがある場合は、このページから登録口座の削除を行います。
◆マイナポイントに関する情報
「マイナポイント」アプリ・サイトのトップ画面から「申込み状況を確認」を押すと、マイナポイント申請が正しく登録されているか確認できます。
申込みをした覚えがないのに申込済みとなっていた場合や心当たりのない決済サービスが登録されていた場合は、上記フリーダイヤルで音声ガイダンスに従って「5」に進むか、申込みをした自治体(手続支援窓口)に問い合わせます。
問合せの際は、上記サイト・アプリの「申込状況の確認」から、「マイキーID」「申込日時」「決済サービス」「決済サービスID」の情報が必要になります。
【デジタル庁「よくある質問:マイナンバーカードの健康保険証利用について」】
https://www.digital.go.jp/policies/mynumber/faq-insurance-card/
【デジタル庁「マイナンバーカード関連サービスの誤登録等の事案に関するご質問・ご不安にお答えします」】
https://www.digital.go.jp/policies/mynumber/related-services-issue/
男性の家事・育児休業等の実態は?~経団連のアンケート調査等から
日本経済団体連合会(経団連)から、「男性の家事・育児に関するアンケート調査結果」が公表されました。主な調査結果は次のとおりです。
なお、調査対象が経団連の会員である大規模企業でありサポートが手厚いことに留意する必要があります。参考までに厚生労働省の調査による一般の数字も掲載しました。
◆育児休業取得率
○2022年の男性の育児休業取得率は47.5%となり、前年(29.3%)から大きく上昇。背景としては、2022年4月に個別周知・意向確認が義務化されたことや、同年10月より、産後パパ育休が創設されるとともに育児休業の分割取得が可能となったことなどがあると考えられる
→厚生労働省の調査では、一般の男性の育児休業取得率は13.97%(2021年)
○女性の育児休業取得率は過去5年間90%以上で推移しており、2020年以降は95%超
→厚生労働省の調査では、一般の女性の育児休業取得率は85.17%(2021年)
◆男性の育児休業期間
○2022年における男性の育児休業平均取得期間は43.7日(約1.5カ月)。1カ月以上取得している企業は約6割(59.9%)
→厚生労働省の調査では、一般の男性の育児休業取得期間は「5日~2週間未満」が26.5%、「5日未満」が25.0%と2週間未満が5割を超えている
◆男性の家事・育児を促進する上での課題
○男性の家事・育児を促進する上での課題としては、「家事・育児と仕事を両立する社員の代替要員の不足」が最も多い(83.5%)。これに「アンコンシャス・バイアスが存在するなど家事・育児と仕事を両立しづらい職場風土」(67.3%)、「長時間労働や硬直的な働き方」(59.4%)が続いている
育児休業取得率や取得期間の数字は大企業のほうが高いことがわかります。上記の課題は中小企業でも参考になりそうですね。詳しくは下記をご参照ください。
【経団連「男性の家事・育児に関するアンケート調査結果(2023年6月5日)」】