2025年3月

令和7年度の雇用保険料率

厚生労働省は、令和7年度の雇用保険料率の案内を公開しました。令和5年4月~令和7年3月までの保険料から0.1%引き下げとなりました。

◆一般の事業の雇用保険料率

労働者負担と事業主負担あわせて14.5/1,000となります(令和7年3月までは15.5/1,000)。失業等給付・育児休業給付の保険料率が労働者負担・事業主負担ともに6/1,000から5.5/1,000に変更になったことで0.1%引き下げられました。

事業主のみ負担となる雇用保険二事業の保険料率についての変更はなく、3.5/1,000です。

◆農林水産・清酒製造の事業

農林水産・清酒製造の事業の雇用保険料率は労働者負担と事業主負担あわせて16.5/1,000となります(令和7年3月までは17.5/1,000)。

◆建設の事業

建設の事業は労働者負担と事業主負担あわせて17.5/1,000となります(令和7年3月までは18.5/1,000)。

令和5年以来の変更となります。事業所ごとの賃金の締め日を確認し、ミスがないよう注意しましょう。

【厚生労働省「令和7(2025)年度 雇用保険料率のご案内」】

https://www.mhlw.go.jp/content/001401966.pdf

 

令和7年3月大学等卒業予定者の就職内定状況と第二新卒採用の活発化

◆大学生の就職内定率は 84.3%

厚生労働省と文部科学省の共同調査による令和7年3月大学等卒業予定者の就職内定状況(令和6年12月1日現在)によれば、大学生の就職内定率は84.3%(前年同期差▲1.7 ポイント)となりました。また、短期大学は 65.2%(同▲1.5 ポイント)、 大学等(大学、短期大学、高等専門学校)全体では 83.1%(同▲1.7 ポイント) 、大学等に専修学校(専門課程)を含めると 82.0%(同▲1.6 ポイント)となっています。

◆第二新卒の採用が活発化

昨年より就職内定率は微減したものの、引き続き売り手市場が続く中、現在、新卒入社から3年以内に転職する「第二新卒」の採用意欲が増しています。

エン・ジャパンが「若手人材の採用」についてアンケートを実施し、300社から回答を得た調査結果によれば、第二新卒を採用したい企業は63%と過半数を占めているそうです。

人手不足の中、採用予定人数を充足できない企業が多いこと、早期離職への抵抗感が薄くなってきていること、社会人としての常識やビジネスマナーをすでに習得していることにメリットを感じる企業が多いことなどから、大企業などでも第二新卒の採用に積極的な企業が増加しているようです。

◆人手不足への対応

現在、多数の大手企業による新卒採用者の初任給引上げの方針が報道されるなど、人材獲得競争が激化しているところです。

人手不足への対応は、引き続き企業にとって重要な検討課題となっていくことが予想されます。自社の現況を分析し、積極的に対策をとっていく必要があるでしょう。

【厚生労働省「令和7年3月大学等卒業予定者の就職内定状況(12 月1日現在)を公表します」】

https://www.mhlw.go.jp/content/11805001/001378436.pdf

【エン・ジャパン「「若手人材の採用」に関する意識調査」】

https://corp.en-japan.com/newsrelease/2025/40165.html

 

企業に求められるスポットワークの就業整備

~連合「スポットワークに関する調査2025」より

空いた時間を利用して、短時間・単発で雇用されて働く「スポットワーク」の就業件数が増えていることを踏まえ、この度、日本労働組合総連合会(連合)は、インターネットリサーチにより、スポットワークで働いているまたは働いたことのある15歳以上を調査し、1,000名の有効サンプルを集計した結果を公表しました。

◆調査結果のポイント

1 スポットワークで働こうと思った理由について、1位「生活のための収入確保」、2位「空き時間の有効活用」、3位「すぐに賃金が受け取れる」。また、応募の際、契約形態の確認をしているかという質問では、40%近くが「確認していない」と回答。

2 1日で複数のスポットワークを行ったことがある割合は24.8%で、その際の就労時間は平均4.9時間。8時間以上と回答した割合が15.3%あり。

3 1か月あたりの収入については、「5千円未満」(22.6%)が最も多く、平均では「2.8万円」。

4 就業先から、業務内容や賃金等の労働条件について説明を受けたことがないと回答した割合は24.5%。けがや事故防止については34.4%が受けたことがないと回答。どの就業先でも「労働条件通知書」が交付されたという人は30.9%にとどまる。

5 仕事上のトラブルについては46.8%が経験しており、最も多いのが「仕事内容が求人情報と違った」(19.2%)、次いで「業務に関して十分な指示や教育がなかった」(17.7%)。

6 スポットワークの就業環境について、必要だと感じることとして、「業務内容についての十分な説明」、「就業条件の向上」、「嫌がらせやハラスメントに対する通報窓口の整備や周知」などがあげられた。

情報通信技術により、仕事を探してお金を稼ぐことが簡単にできるようになりました。その影響で、働くこと自体に慣れていない10代の利用が増えています。雇う側としても、人手不足を解消するためにも上手に活用したいところです。極力トラブルを避けるためにも、企業の説明責任や環境整備が求められます。

【連合「スポットワークに関する調査2025」】

https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20250123.pdf

 

従業員の不祥事発覚時の初動対応

◆初動対応の基本

従業員による不祥事が発覚した場合、企業がその対応を誤ると、社内外からの信用を大きく損ねてしまう可能性があります。被害を最小限とするために、基本的な対応策を押さえておきましょう。

① 担当者を選任し、事実関係を把握

まずは事実関係を迅速に把握することが重要です。担当者を選任し、調査に当たります。関係者へのヒアリングや関連資料の確認を通じて、正確な情報を収集しましょう。その際、誰が、どのように調査を行うのかには慎重な判断が必要です。専門家に相談することも視野に入れておきましょう。社外からの問合せが想定される状況であれば、対応方針を決めておくのも重要です。

② 情報開示とコミュニケーション

不祥事の事実が確認されたら、速やかに情報開示を行います。被害者、株主や取引先、従業員などに対して、誠実かつ透明性のあるコミュニケーションを図ることが信頼回復の第一歩です。確かな事実に基づき、冷静かつ真摯に対応を行います。情報開示の範囲は事案によって異なりますが、社会的影響や被害者保護、再発防止の観点から判断していきます。

③ 被害者対応

不祥事によって被害を受けた方々への対応も重要です。被害者の立場に立ち、誠実に謝罪し、適切な補償を行うことで、企業の責任を果たします。信頼を取り戻すためには、迅速かつ誠実な対応が不可欠です。

◆再発防止に取り組む

初動対応のあとは、原因を徹底調査し、内部統制の強化や従業員教育など、再発防止に取り組むことが重要です。従業員の不祥事など考えたくないことかもしれません。ですが、誤った対応をしないよう、準備をしておくことが大切です。